開催案内

日時

2024年4月19日(金)14:45〜18:30
 

開催場所

北部総合教育研究棟
益川ホール (対面のみ)
アクセス 建物配置図(北部構内)【13】の建物

コロキウム・説明会への参加登録

https://forms.gle/XTdXjiUgLE1D3h6M9

プログラム

14:45〜15:00

ティータイムディスカッション

15:00〜16:00

第25回MACSコロキウム

『歯の人類学:歯の形の違いが語ること』

 講演者:森田 航 博士(国立科学博物館人類研究部 研究員 兼 東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 准教授)

歯は非常に硬いため化石資料が豊富である。その形は、食性を反映すると共に、形態形成時の遺伝的な制御も強く、系統関係をよく反映する。本講演では、トルコのフィールドワークで得られた歯の化石の形態分析を通して見えてきたホモ・サピエンスのユーラシア拡散の基点の様相を紹介する。さらに、人類進化過程に起きた歯の形の変化を、実験動物の歯の分析から発生遺伝学的要因により説明し、包括的な人類進化史の理解に向けた人類進化発生学の展望についても議論したい。

16:15~17:20

 

2024年度MACS学生説明会

スタディグループ(SG)の代表教員・参加教員による企画説明(各5分)

 

・SG1データ同化の数理と応用:理論モデルとデータをつなぐデータサイエンス

代表教員:坂上 貴之(数学・数理解析専攻)

・SG2物理と生物をつなぐ

代表教員:佐々 真一(物理学・宇宙物理学専攻)

・SG3生命のダイナミクス:本物を観て(観察)考える(数理)

代表教員:高橋 淑子(生物科学専攻)

・SG4自然科学における統計サンプリングとモデリング:数理から実践まで

代表教員:林 重彦(化学専攻)

・SG5理化学研究所とMACS を繋ぐパイプライン

代表教員:三上 渓太(サイエンス連携探索センター)

・SG6自然界が生み出すパターンを観測し、その形成過程を読み解く

代表教員:大谷 真紀子(地球惑星科学専攻)

・SG7疾患における集団的細胞挙動の数理モデルの開拓

代表教員:坂上 貴之(数学・数理解析専攻)

・SG8学習物理学:機械学習と理学の融合

代表教員:橋本 幸士(物理学・宇宙物理学専攻)

・SG9XR で見る・3D で触る先端科学

代表教員:稲生 啓行(数学・数理解析専攻)

・SG10みんなで学ぶ数理物理

代表教員:楠岡 誠一郎(数学・数理解析専攻)

・SG11暗号理論の数理と社会実装

代表教員:伊丹 將人(サイエンス連携探索センター)

・SG12外れ値でみる理学

代表教員:宮路 智⾏(数学・数理解析専攻)

・SG13誰も見たことのないものを見るための技術

代表教員:冨田 夏希(サイエンス連携探索センター)

 
17:30〜18:30

継続討論会   コロキウム講演者・SG参加教員との自由な雑談

 

今年度のSGの情報は以下のHPから得ることができます。
https://www.sci.kyoto-u.ac.jp/ja/academics/programs/macs/sg

【5/12(日)締切】2024年度スタディグループへの参加登録はこちら
https://forms.gle/6FUYUnwkp2eFDbjy6

備考

◎本コロキウム・説明会は理学部・理学研究科の学生・教職員が対象ですが、京都大学・理化学研究所に在籍されている方はどなたでもご参加いただけます。
◎学内教育プログラムに関するイベントであるため、学外・一般の方の登録は原則不可としております。ご登録いただきましてもリストより削除させていただくことがあります。
◎ SGの参加対象は主に理学部・理学研究科の学生が参加対象です。それ以外の学生の登録も可能ですが、 参加希望者多数の場合は調整の可能性があります。
◎問い合わせ先:macs * sci.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)

 


開催報告

 第25回MACSコロキウムでは、国立科学博物館/東京大学の森田航博士に「歯の人類学:歯の形の違いが語ること」というタイトルで講演をしていただきました。

 講演はまず、なぜ対象が歯なのか?という話から始まりました。硬いので時を経ても残りやすい事、胎内でできるため環境因子の影響が小さい事、何を食べていたかという情報が得られる事などが挙げられました。

 前半のお話はトルコのレバント周辺で行っている発掘調査についてでした。レバント周辺は5-10万年前に、ネアンデルタールとホモサピエンスが入れ替わりで生存していた地域とされています。森田博士はウチュアズリII洞窟で6-7万年前の地層の発掘調査を行いました。発掘で得られた歯をCTで撮影し、その形状の特性について機械学習を用いた多変量解析を行いました。その結果、見つかった歯はネアンデルタールの特徴を持つもの、ホモサピエンスの持つもの両方があり、6-7万年前のウチュアズリII洞窟にはネアンデルタール・ホモサピエンスどちらもいたとする結論を導きました。

 後半は人類の歴史で歯の形がどのように変わってきたかについて、遺伝子改変マウスとスンクスというネズミを用いて調べる研究についてお話がありました。遺伝子改変によって歯の形を変えたマウスを誕生させることができます。またスンクスは人類と同じく切歯、犬歯、小臼歯、大臼歯の4種類の歯を持つネズミであり、人類の歯の進化を調べるのに適しています。森田博士は、遺伝子改変マウスの歯や、大陸の大型スンクスと島の小型スンクスを交配させてできたスンクスの歯について、CTで形状を測定し形態地図法と呼ばれる手法で形状を分類しました。そして歯の形状と遺伝子解析の結果について機械学習を行い、どの遺伝子が歯の形状変化に関連しているかの手がかりを得ました。

 海外での発掘調査から機械学習を用いた解析まで、幅広く活動されている事が印象に残りました。質疑応答はたっぷり15分間質問が続き盛り上がりました。

(文責:冨田夏希)